旧高田小で公園計画がスタートするまで

雑司が谷地区には、3つの小学校(高田小、雑司谷小、日出小)と雑司谷中がありました。それらはいずれも地域のコミュニティの中心であり、また救援センターに指定されていて防災の拠点でもありました。

豊島区では児童生徒の減少を受けて、区内の小中学校の統廃合計画を立案しました。その計画で、地区内の3つの小学校は統合されて南池袋小学校となり、雑司谷中跡地に新校舎が建設されました。また、雑司谷中は高田中と統合されて千登世橋中となりました。

広い道路に接して立地がよいため、雑司谷小跡地は高齢者施設等に、日出小跡地は区役所新庁舎とマンションに利用されています。一方、高田小は周辺の道路が未整備のため活用方法が見つからず、区では公園にすることは決定していましたが、具体的な方策ができないままとなっていました。空き施設は集会やスポーツなどに利用していました。しかし、耐震診断の結果、体育館については危険度が高いので使用を中止し、校舎についても暫定的に利用を認めるという状況となっています。

 

まちづくりの会からの要望を受けて

まちづくりの会では雑司が谷二丁目のまちづくりの検討を行いました。高田小は雑司が谷二丁目の中心にあり、もともとは救援センターとしても利用されていました。新たな防災まちづくり計画においても地区の中心となる施設であり、その防災公園化は重要な課題としてあげられました。

まちづくりの会では雑司が谷二丁目のまちづくりのあり方を豊島区長に提言しましたが、その大きな柱の一つが旧高田小の公園整備でした。

豊島区では、区長提言を受けて本格的に検討を行い、住民参加で検討するための会を作ることを決定しました。

ワークショップと検討会

検討の手始めに、2013年2~3月に検討ワークショップが3回にわたって行われました。ワークショップでは公園づくりの基本的な方針が話し合われました。

引き続き、2013年4月からワークショップ参加者を中心に公園づくり検討会がつくられ、月1回のペースで、事例見学を行ったり、ワークショップの成果を受けた検討を行いました。検討会では、周辺住民の皆さんへのアンケート調査を行うと共に、検討会主催の説明会を開催しました。

アンケート調査と説明会における意見を反映させて計画案を見直し、検討会からの提案を取りまとめました。その検討結果は提言書にとりまとめ、豊島区長に提出しました。


提言書はこちらで見ることができます。


豊島区では検討会の提案を最大限に尊重し、平成24年度に公園の基本設計を行いました。

検討会の提案

検討会がとりまとめた計画案は右図のとおりです。拡大図はこちら。主な内容は次のとおりです。

◆3つの目標

 ・災害時に役立つ公園

 ・地域のコミュニティの拠点となる公園

 ・雑司が谷らしさのある公園

◆4つの基本方針

 ・親しまれる公園をつくろう

 ・コミュニティを生み出す公園をつくろう

 ・雑司が谷らしさを代表する風景をつくろう

 ・住民の思いがこもった公園にしよう

以上の主旨から敷地の中央は災害時にも使いやすいはらっぱとし、ボール遊びができるフェンスで囲われた広場も計画されました。

コミュニティを育む拠点施設

高田小学校は地域のコミュニティと防災の拠点でした。その機能を新しい公園にも残こすため、公園の管理と学習のための拠点施設を整備することになりました。この施設は敷地の段差を利用した2層建てとなり、道路に面した地下1階は防災施設、公園側の1階は公園施設となります。

検討会では、この施設などの運営や維持管理を住民が主体的に行うことができないかを検討しました。

校舎のリノベーション

高田小学校跡地の公園づくりは2015年度後半、大きく揺れていました。豊島区から、「区が進めるリノベーションまちづくりの一環として、校舎を耐震補強した上で活用し、地域の活性化を図るため検討させてほしい」と提案されたのです。

この提案に対して検討会では、さまざまな異論があったものの区に検討してもらおうということになりました。校舎が残れば地域になくなった救援センターを復活させることができ、また地域にとって役立つ施設になるという期待もあったからです。その後、区によって建物の耐震調査が行われました。その結果、現在の校舎の耐震性が思った以上に悪く、補強しても十分な耐力を確保できないことがわかりました。そのため校舎を残す案はなくなりました。

しかし、検討会では、区からの提案にあった「民間活力を入れて施設の維持管理を行う」という提案について、その発想を入れた施設づくりの検討を行いました。

設計と工事

その後、公園と拠点施設づくりは基本設計・実施設計が行われました。
設計内容は随時検討会で検討や確認を行いながら進められました。
公園の名前は「雑司が谷公園」、拠点施設の名前は高田小学校の校歌にちなんで「雑司が谷公園 丘の上テラス」と名付けられました。

工事は2017年から行われ、2020年に完成しました。


2017年      校舎の解体工事

2018年~2019年 拠点施設の建築工事

2019年度     公園工事

2020年3月    開園


検討会から運営協議会へ

検討会では、設計の検討と共に公園や施設の運営・維持管理の検討も行いました。住民参加の公園づくりを、公園の完成後にも引き継ぐ必要があると考えたからです。検討の結果、将来は地元団体が指定管理者となって運営を行うことを目標に、当面は豊島区シルバー人材センターに管理を委託し、地元の方が中心になって管理を行う体制とすることが決められました。
同時に、運営について地元の意向が反映されるように、地元の、町会・商店会の代表者、大学、NPO法人雑司が谷ひろばくらぶが中心となって、運営協議会が設立され、活動を開始しました。



完成した公園と拠点施設は名前をクリックすると見ることができます。
 雑司が谷公園
 丘の上テラス

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